“自分の道を突き進む”たくさんの個性たちが出会い互いに磨き合うのが桜美林 #52
舞台俳優である両親を見て役者を志し、小学生で声優のオーディションを受けてからずっとこの仕事を続けています。20代も後半に入り、これからが生き残りをかけた正念場。一生役者として生きるために、「自分の武器は何だ? 唯一無二の個性とは?」とよく考えます。そのときいつも思い出されるのが、劇作家である鐘下辰男先生が授業で何度も語っていた「いつでも脱げる役者になれ、心を裸にできる役者になれ」という言葉です。いろんな服で着飾る役者は多くても、全てをさらけ出し裸になれる人は多くありません。だけど本当の個性とは、そうした裸の部分、恥ずかしいところも含めた素直な心にあるものだと思うのです。だから、いつも素直でいたいですし、この仕事を純粋に楽しんでいたいですね。声優の活動を通じて人に夢を与えたいとか、社会に役立ちたいとか、今の僕にはまだ言えません。だけど素直に楽しむ自分の姿を見せることが、誰かの背中を押したり気持ちを救ったりすることもあります。ちょうど僕が、両親の姿を見てこの道を選んだように。いつでも裸の心をさらけ出せること。大学で学んだこの姿勢が、僕の唯一無二の“個性”につながっていくのだと思います。
(所属・肩書は2021年度取材時点のものです)