“次の時代の桜美林へ”オベリンナーたちの想いを乗せて次の100年への一歩を踏み出す” #99
安三先生直筆「せん方尽くれど 望み失わず」の掛け軸と共に。鳥取県境港市のご自宅にて。
私は医者である父の赴任先、京城(現在のソウル)で生まれ育ちました。敗戦と共にリュック一つで日本へ引き上げ、今では想像もできない貧しい生活の中、偶然訪れた教会で聴いた清水安三先生ご夫妻の講演。軍国主義教育を受けた私にとって、キリスト教主義の生き方、民主主義の思想は衝撃であり感動そのものでした。戦後の混乱の中で日本の将来を見抜き、全てを懸けて安三先生がつくられた学園は、まだ貧しく全てが荒削りでしたが、戦争から解き放たれた明るさと自由な空気に満ちていました。学生生活、そしてその後もいつも安三先生の言葉に導かれ、私の人生があります。目を見張る成長ぶりで、今や規模も存在意義も大きく変わった桜美林。しかし時代の波に流されず、校章の示す「艱かんなん難を経て栄光に至る」という理想を目指して前進することを願います。
(所属・肩書は2021年度取材時点のものです)