“史上初”でドラフトを沸かせた野球部の顔

佐々木千隼投手インタビュー

野球部に欠かせない不動のエースであり、桜美林躍進の立役者ともいえる佐々木千隼投手。ドラフト1位指名を受けた選手としては、「都立高校出身」「5球団からの再指名」と史上初の快挙が話題となった。長年、野球部を率いてきた宮﨑光次先生が話を聞いた。

ドラフト1位でプロ入り

宮﨑光次(以下宮﨑)
まずは、ロッテ入団おめでとう。野球を始めたのは小学生のときだったよね。

佐々木千隼(以下佐々木)
小学2年生からです。

宮﨑
都立高校へ進んだのはなぜ。

佐々木
中学3年生の夏、日野と日大三高の試合を見て、都立でも三高相手にこんな試合ができるんだ、と思ったのがきっかけです。

宮﨑
桜美林を選んだ理由は。

佐々木
それは實川さんのラブコールですね(笑)。すごく熱心に誘っていただき、自分を必要としてくれていたのがとてもうれしかった。練習に参加させていただいたら、雰囲気が日野高校に似ていて、こういうところでやりたいなと思いました。

宮﨑
入学時の球速は140キロくらい。力一杯投げていて突然コントロールが乱れて、なかなか試合を作れないときもあったよね。2年生ごろから徐々に変わってきた気がしたけれど、ターニングポイントはあったのかな。

佐々木
2年生の春から1部に上がりましたが、全然通用しなくて。周りの1部の学生は体も大きいし、何か変えなければと思い、その年の秋ごろから本格的にウエイトトレーニングを始めました。
体重が入学時の71、72キロから77キロくらいまで増えたら、スピードも徐々に上がり始めて。ただ、スピードは上がるのに、ボールの質が向上しなかったので、3年生の春はそこを重点的にしっかりやりました。

宮﨑
野球に対する考え方は何か変わった。

佐々木
2年生のときに元・巨人の桑田さんが特別コーチをされていて、配球のことなどを学びました。インコースを変化球でどう使うかなど、すごくためになりました。

宮﨑
ボールの質については野村特別コーチに教わったの。

佐々木
野村さんには、野球のほとんど全てを教えてもらいました。投げ方や「野球の仕方」ですね。アップからダウン、体のケアまで。

武器は速球と変化球

宮﨑
今は最速153キロ。その要因は体力的なことが一番かな。

佐々木
筋力が上がったのと体の使い方を野村さんに教えていただいたことが大きいです。

宮﨑
体力的なことや技術的なことがきちっとできるようになって必然的に球速も上がったと。上がったときの感覚はあった。

佐々木
はい。4年生の春のリーグ戦では、キャンプ前からずっと取り組んでいて、それがうまくはまりました。

宮﨑
力まずに安定感のある投球をしながら、ここぞというときには150キロ出す。速球を持っていながら、変化球もいろいろ投げられるのが強みだね。

佐々木
自分は変化球ピッチャーだと思うので、球種の引き出しを増やしたいと思っています。4年生でシンカーを投げられるようになり、強弱が付けられるようになりました。

宮﨑
大学レベルでは日本を代表するピッチャーとして”大学BIG3“と言われたけれど、創価・田中投手と明治・柳投手はどんな存在。

佐々木
その二人と並べてもらうのが申し訳ない感じです。柳投手とは日米大学野球で一緒にやらせてもらったのですが、野球に対して本当にストイックでまじめ。人を引き付ける力がすごくて同世代とは思えないというか、本当にキャプテンという感じ。柳がいると安心で、引き締まりますし、盛り立ててくれます。

宮﨑
桜美林に入ってどうだった。

佐々木
本当に良かったです。野球でいうと、一番は、環境が良かったこと。監督は、やらせる野球ではなく、自主性を重視してくださるので、自分たちで考えながら野球をやらないといけない。自分で考えてやった方が力も付いてくるのだと思います。

宮﨑
結果を残すためにどうアプローチすべきか自分たちで考える。それが一番桜美林らしいところなのかな。

佐々木
そうですね。野球以外では、バレーボールの授業が楽しかったです。

宮﨑
桜美林のスポーツ実技の授業って友だちできるよね。

佐々木
はい。いろんな学群の人と話す機会があるので。

まずは開幕一軍を目指して

球団のドラフト指名を受けて、祝福を受ける佐々木投手

宮﨑
プロではどんな選手になりたい。

佐々木
勝てるピッチャーです。速い球を投げるというのも一つの魅力だとは思うのですが、勝つためにはどうすれば良いのかを考え、しっかり勝って、ファンに愛される選手になりたいです。

宮﨑
2017年はルーキーシーズンだけど、目標は?

佐々木
まずは開幕一軍です。

宮﨑
神宮大会が終わった2、3日後には練習を再開していたよね。

佐々木
1月には新人合同練習が始まるので、遅れをとらないよう自主トレで体を作っています。

宮﨑
頼もしいね。プロのシーズンは長いので、当然勝つこともあれば負けることもある。原因を見つけ修正し、日々ちょっとずつ進歩できれば良いね。将来的な夢は何かな。

佐々木
まずはロッテで優勝したいと思います。

宮﨑
野球部の後輩にメッセージを。

佐々木
日本一になってください!

宮﨑
後輩たちが活躍するのを期待してください。最後に、OBIRINERの方へのメッセージを。

佐々木
リーグ優勝してから、学校が一つになっているような感じがしました。校内でパブリックビューイングをしていただいたり、試合の応援に来ていただいたり、そういうのが力となり、支えにもなりました。すごく感謝しています。本当に良い学校だなぁと感じました。

宮﨑
プロになるといろいろ忙しいと思うけれど、ケガをしないように自分のペースでやってほしいと思います。

千葉ロッテマリーンズ 山室晋也社長コメント

佐々木投手はフォーク、シンカー、スライダー、カーブと精度の良い変化球を投げます。ストレートは150キロ以上出すことができ、非常に完成度の高い投手で、1年目から1軍ローテーション入りを期待しています。

宮﨑 光次(みやざき みつじ)

スポーツ推進センター長/野球部顧問・部長・総監督/総合科学系 健康福祉学群教授

1982年 桜美林高校卒業
1987年 筑波大学体育専門学群卒業
1990年 筑波大学大学院体育研究科修了、体育学修士。主な担当科目はスポーツコーチ学。中学時代に野球を始め、高校時代には春の選抜高等学校野球大会に出場し、甲子園を経験。高校野球部、大学野球部では、共に主将を務めた。1996年より足かけ14年間、桜美林大学準硬式野球部と野球部の監督を務める。

佐々木 千隼(ささき ちはや)

健康福祉学群4年、投手

2013年 都立日野高校卒業
2016年 首都大学野球春季1部リーグ戦ベストナイン、秋季1部リーグ戦最高殊勲選手・最優秀投手に選出。個人投手成績で春・秋ともに1位の成績をおさめる。侍ジャパン大学日本代表の日米大学野球選手権では開幕投手に。7回3安打1失点、12奪三振と圧倒した。5球団よりドラフト1再指名を受け、千葉ロッテマリーンズと契約。スリークォーターから、最速153キロの直球にツーシームやスライダー、シンカーなど6種類の変化球を操る。