外部評価

本学園は、本学園が取り進めている教学面での改革や施設設備の充実策を含めて、学園経営における財務的な面での健全性を第三者機関の評価を受けることにより客観的に把握するとともに、今後の学園運営における一つの重要な指標として活用していくことを目的として、格付を取得しています。

継続的に第三者機関の評価による格付の結果を広く学園外に情報公開し、本学園の直接的な関係者の方々のみならず多くの方々に本学園を具体的にご理解いただくことは、本学園が「社会に対する説明責任」を果たしていくことにも繋がると考えています。

株式会社日本格付研究所(JCR)による長期発行体格付
格付「A」(シングルAフラット)、見通し「安定的」(2023.3.31)

学校法人桜美林学園は、このたび株式会社日本格付研究所(JCR)による格付を次の通り取得しました。

■格付対象

発行体:学校法人桜美林学園

【新規】

対象:長期発行体格付
格付 :A
見通し :安定的

【格付事由】

  1. 1946年設立、キリスト教主義の教育による国際的人物の養成を建学の精神に掲げる学校法人。桜美林大学を中核とし、幼稚園、中学、高校を設置する。全設置校の在籍者数は約1万2千人。大学は、メインの町田キャンパスにリベラルアーツ、健康福祉、グローバル・コミュニケーション学群、19年4月開設の新宿キャンパスにビジネスマネジメント学群、20年4月開設の東京ひなたやまキャンパスに芸術文化学群、多摩キャンパスに20年4月開設の航空・マネジメント学群、プラネット淵野辺キャンパスに23年4月開設予定の教育探究科学群を置く。近年、キャンパスの整備、学群の移転ならびに開設を進めてきた。
  2. 格付は、国際性豊かな教育体制や先進的な大学改革に基づく一定の学生獲得力、安定した収支構造などを評価している。従前に比べて大学の志願者数は減少しているが、相対的なポジションに変化はなく、入学者の確保に大きな問題は生じないだろう。しばらくは収容定員の拡大が続くため、学納金収入の増加が見込まれる。予算統制の強化により、収支改善が図られていくと想定している。相次ぐ大規模投資により高水準で推移する有利子負債に対し、償還財源は確保可能とみられ、中期的にはキャッシュフロー・サイクルが維持されると判断した。以上を踏まえ、格付を「A」とし、見通しは安定的とした。
  3. 国内18歳人口の減少や受験生の年内志向などを背景に、業界全体で志願者数は弱含んでいる。本学も同様の影響を受けており、一時2万人超まで増加した志願者数は、23年度入試では約1万4千人となった。全体として一定の志願倍率が維持されていることや、入学定員の過半を占める総合型と学校推薦型が底堅いことなどから、当面は入学者の確保に問題は生じないとみられる。ただし、入学定員を満たせていない学群もある点に留意は必要である。キャンパスの分散化と収容定員の拡大を進め、学群の独自性を発揮しやすくなったとはいえ、長期的にこれまでの競争力を維持できるのか注目していく。
  4. 近年の大規模投資により、財務基盤に負荷がかかっており、学校法人として改善余地は大きい。22/3期末の運用資産約130億円に対し、有利子負債残高は約220億円である。借入金の返済期間は長期にわたり、収入に安定度も認められるため、中期的な債務償還に問題はないだろう。ただし、基本財産の維持更新に向けた資金蓄積は十分でなく、投資計画が生起した場合に新たな資金調達の可能性もある。財務健全性を意識した経営方針を示しているが、その実効性に注視していく。収支の余裕度が高まりにくい中、計画的な資金の積み立てと、優先順位を付けた施設計画が想定通り行われない場合は、格付に下方圧力が増す可能性がある。